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カウンセリングとは一体何か?カウンセラー必読の本『カウンセリング心理学入門』

“カウンセリング”とは一体何でしょうか。特に、産業カウンセラーが言うところのカウンセリングとはどんなものをさすのでしょうか。カウンセラーであれば、まず答えられるべき質問ですが、意外とこれに回答するのは難しいでしょう。

 

今回は、國分の『カウンセリング心理学入門 (PHP新書)』という著書をもとに、この疑問について見ていきます。あくまで概略だけなので、カウンセリングに関わりたいという方はぜひご自分の目で一読してみて下さい。

 

カウンセリング心理学入門 (PHP新書)

 

カウンセリングとは一体何か?

私たちの身の回りでは、美容カウンセリング、健康カウンセリングといったようにカウンセリングという言葉が氾濫しているため、その実態がつかみにくい状態にあります。

 

一方、國分はカウンセリング心理学とは何か、自分の体験からこのように説明しています。

 

“カウンセリング心理学は予防・開発の色彩がつよい心理学であると思うようになった”

 

一般的に心理学のカウンセリングというと、病理的なパーソナリティを持った方に対するカウンセリングや、社会生活を営むのが難しい方を対象としたカウンセリングを思い浮かべる方が多いかもしれません。

 

確かに、それらのクライエントをカウンセリング心理学が対象としないわけではありません。ですが、それらはやはり臨床心理学の色彩が強い分野であり、カウンセリング心理学はより予防・開発的な面が色濃く出た分野だと述べたのです。

 

“カウンセリング心理学は健常者を主たる対象にするので世界は広い。家庭生活、職業生活、対人関係、健康問題のいずれもがカウンセリング心理学の活用範囲となる。”

“問題を抱えた健常者および問題を持っているわけではないが今よりも更に成長したい健常者を主たる対象にするものである。前者は治療(cure)志向であるが、後者は問題の解決・問題の予防・行動の発達(care)をそれぞれ志向するものである。”

 

カウンセリング心理学とカウンセリングの関係

カウンセリング心理学とは?

1. 人間行動に関する事実の発見

2. 人間行動の説明

3. 人間行動の修正・予防・開発に役立つ方法の工夫

4. カウンセリングは実践を、カウンセリング心理学は研究に重きを置く

 ―カウンセリング心理学者だからカウンセリングができるわけではない

 

“カウンセリング心理学の研究の成果を活用した援助活動をカウンセリングという”

 

こうした定義のもとに、職場・学校教育・家庭(親子、夫婦関係)といった場面でどのようにカウンセリング、あるいはカウンセリング心理学の理論が活かされるのか、どのように活かしていけば良いのかについて触れています。

 

この辺りに関しては、さすがに初版の年度がふるいので、知識が古い点もありますが、少なくとも序章の「カウンセリング心理学とは何か」という章は現在でも全く陳腐化することなく有用な章です。

 

この本以上に、カウンセリングとは、あるいはカウンセリング心理学とは何かを分かりやすく解説している本はそう無いと思います。

 

カウンセリング心理学を学ぶことで得られるもの

そして、「カウンセリング心理学を勉強することによって何が変わるのか」についても筆者は触れています。たとえば、「カウンセリング理論を学ぶことによって何の意味があるのか?相談に乗るだけならカウンセラーでなくてもよいではないか?」という方がいらっしゃいます。

 

確かにそうです。ですが、カウンセリング心理学の中でカウンセリング理論を学んだカウンセラーだからこそ得られる視点もあります。著者の國分はカウンセリング理論とは以下の8つの問いに対する答えをワンセットにしたものであると述べています。

 

1. 人間をどうみるか(人間観)

2. 人間の性格・行動はどのようにしてつくられるか(パーソナリティ理論)

3. 人間はなぜ悩むのか(問題行動発生の原因)

4. 治るとは何か、健常とは何か(カウンセリングの目標論)

5. 行動変容のためにカウンセラーは何をすべきか(カウンセラーの役割)

6. 行動変容のためにクライエントは何をなすべきか(クライエントの役割)

7. この理論の適用範囲はどうか(その理論の限界)

8. この理論を使用する時の留意点は何か(その理論のリスク)

 

いずれも重要な要素ばかりですが、個人的には4番の「治るとは何か、健常とは何か」は理論の重要性を語る上で特に重要な要素だと考えます。

 

個人的な体験だけでは、そもそも介入するタイミングが分かりません。素人目には“健康”に見えても、介入の必要性がある場合もあります。あるいは逆に素人目には介入したくなる時でも、むしろクライエント自身が回復に向かって歩き出している時もあります。

 

そういった時に、よりどころになるのがカウンセリング理論の重要性だと私は考えます。

 

すでにカウンセラーになっている人が「カウンセリングの基本」について立ち返りたい時、あるいはカウンセラーを志す人がカウンセリングを学ぶ際には必携・必読の一冊だと言えるので、ぜひ一度は読んでおきましょう。

 

カウンセリング心理学入門 (PHP新書)

カウンセリング心理学入門 (PHP新書)